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「で、なんでお前がここにいるんだ?」
「それは、その、えっと……だって心配だったんですもん」
直球だった。
怒られると思ったのかションボリした様子のノエルは、混じり気ない屈託を零す。
これだけ真正面から心配されたんじゃ、まあ、その、なんだ。怒るに怒れないというか、素直に嬉しいというか。いや、でも、話し合って決めたものを無視して勝手したのは注意すべきで。いやいや、こいつがここにいるってことはシエナも許可したんたろうし。けど、やっぱり勝手するのは。
いや、でも、けど、しかし──
まあ、まず言うべきはこっちか。
「妙な笑顔はやめい」
混迷を極めた状況。ノエルの乱入でそこに隙ができた瞬間だった。
赤のギルドマスター、たしかレイラさんとか名乗られたっけ。レイラさんは何事もなかったかのように、ノエルを含めオレたち全員を奥の応接室へと通したんだ。
そして簡単な自己紹介のあと、心器狩り戦の説明まで終え、レイラさんが少し席をはずして今に至る。
そう、この部屋に通されたのはオレたち全員。
「あ、どうぞ自分たちにはお構いなく」
「若いってええな」
「シロー、ボクたちよりそっちだよ!」
だから生温い笑みはやめろっての。
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