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「ごめんなさいね。リゼちゃんの方はもうしばらくかかるみたいなの」
そう言ってレイラさんは、お盆いっぱいのお菓子を抱えて戻ってきた。
ナイスタイミング。レイラさんの帰還で場の空気が切り替わる。ただ約一名過剰に切り替わってるヤツがいるけど。
「むむむ」
隣に座ったノエルは、レイラさんが戻ると同時にその身をピタリと寄せてくる。
リスみたいなふくれっ面で警戒を色濃く示すノエルだけど、レイラさんの方はどこ吹く風。やんわりとした笑みのまま、向かう視線を受け流す。
「ノエルちゃん、だったわよね。その反応、あなた史郎くんと付き合ってるのかしら」
「ふぇッ!? いえ、あの、その、シロウさんはちがくて……」
「同じアパートの住人ですよ」
しどろもどろなノエルを見かねてフォローを入れる。
それを受け取ったレイラさんは、なぜかご機嫌だった。
パンと両手を打ち合わせると、嬉しそうに言葉を紡ぐ。
「やっぱり。ノエルちゃんからも微かに匂うと思ってたのよ。二人とも銀嶺館で暮らしているのね」
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