【挨拶代わりのプロローグ】

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 リリアネス。それが異世界からの学徒を広く招き入れているこの街の名前だ。  街の外れに広大な敷地を持つ魔法学園もその名を冠し、世界最大規模である学園の存在から、この世界でもトップクラスの知名度を誇っている。……らしい。  伝聞系になるのも仕方がない。オレも異世界からの学徒の一人なわけだし。こっちに来て2カ月ほど経つけど、まだ知らないことも多い。  ただ、街並みに関してはかなり見慣れてきた。  魔物除けの壁に囲まれた中にレンガ造りの建物が立ち並び、その間を細い道がまるで血管のように縦横無尽につながっている。  雑然としていて、だからこそ活気にあふれる街並み。  そんな街の風景をオレは上から見下ろしていた。  走り、跳ぶ。建物の屋根から屋根へと飛び移りながら、宵闇に暮れなずむ街の中を全力で駆けていく。  足を止めて消えゆくオレンジの日を眺める暇どころか、後ろを振り返る余裕すらない。  前だけを見据えたまま、魔法の力で強化した脚力のすべてを使って走り続ける。  なぜならば、 「待ちなさい、変態!!」  後ろから銃を持ったヤツに追いかけられてんだよ、こんちくしょー!!
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