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透き通った青い目でコッチを捉えて離ず、真っ赤なツインテールを風になびかせながらオレと同様に屋根から屋根へと飛び移ってくる追撃者。
股下いくらもなさそうな丈の短い浴衣姿でそんなことをするもんだから、跳んだ瞬間の下からの眺めが気になるところだけど、それを確かめてる余裕はない。
「待てと言われて待つバカはいなうおッ!?」
圧縮された魔力の弾丸が耳をかすめて飛んでいく。
……ヤバい。あいつ目がマジだ。
脚力に関してはオレの方が上とはいえ、こんな開けた場所じゃ逃げ切る前に狙い撃たれちまう。
足に魔力を集めて飛び降りる。そのまま人込みに紛れ、裏路地を走り、どうにか撒いたかなと思って大通りに出た時だ。
「おう、クロウ。また痴話ゲンカか。モテる男はつらいねぇ」
「王様、今日も鬼ごっこ?」
「何度も言ってますけど、オレの名前は『黒上史郎(くろうえ しろう)』ですよ。ついでに、王様でもないです」
いきなり声をかけられて一瞬ビビったけど、何のことはない。割りとガタイのいいオッサンと小学生くらいのチビッ子。顔なじみである肉屋の親子だった。
逃げ回ってるうちに商店街まで来てたわけか。
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