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言葉と共に白衣がフワリと飛んでくる。
「イロさん!」
「無事だったようだな」
扉だった物をくぐり抜け、瓦礫の山を飛び越えてくる。その後ろにはもう一人。
「胸に穴が空いているのを無事と言うのは、どうかと思いますけどねぇ」
間延びした口調。おさげを揺らすメイドだった。
「アリシアさんまで!? 戦ってたんじゃなかったんですか!?」
「まあ、時間切れで引き分けって感じですねぇ。こちらの決着がついたのに、戦い続ける意味はありませんからぁ。そんなことより、早くシエナさんに白衣をかけてあげた方がいいですよぉ」
おっと、それもそうか。
受け取った白衣をシエナの肩に掛ける。
大きめの白衣にすっぽりくるまれるシエナ。
「……ありがと」
「礼ならイロさんにな」
「分かってるわよ。イロさん、ありがとうございます。白衣だけじゃなくて、ここまで来てくれたことも。それから──」
シエナが振り返る。二本のテールがフワリと揺れた。
「リーゼロッテさんも、ありがとう。ここまで来るのに協力してくれたのよね。おかげで助かったわ」
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