3510人が本棚に入れています
本棚に追加
何気ない感謝の言葉。けどそれが、それこそが、リゼが欲したものだったんだろう。
顔を赤くし、耐えるようにプルプルと震える。
「か、勘違いしないでもらいたいですわね。ワタクシはナメられたままなのが嫌だっただけで、アナタを助けに来たわけじゃありませんわ!」
あー、そこで意地を張っちゃうわけか。
真っ赤になりながらもそっぽ向く様は、何というかリゼらしかった。
「シロウくん。ケガを治しますから、こっちに来てくださいねぇ」
呼ばれるままに足を向ける。
ちょうどいいや。聞きたいこともあったし。
手招きするアリシアさんと、その横で腕を組むイロさん。二人へ向けて問いかける。
「ノエルはどうしたんですか? 扉の方から来たってことは、階段通りましたよね」
オレの疑問に顔を見合わせる二人。
イヤな予感がした。何かが欠けるイヤな予感が。
「いや、ここに来るまで誰も見かけなかったぞ。……キミたちと一緒にいたんじゃないのか?」
最初のコメントを投稿しよう!