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「シエナのことは任せとけ!」
「はい! 任せましたよ、シロウさん!」
道を塞ぐ氷槍の向こう。足音が遠のいていく。
駆けるその音に迷い感じられない。
「お姉ちゃんは、シロウさんに任せて大丈夫ですね」
あとは目の前の敵を倒すだけだ。
深呼吸。
早鐘を打つ心臓を抑えつける。
少し大胆なことを言ってしまった自覚はある。けれど、あの言葉はまごうことなき本心で、そして大好きな姉も同じ気持ちに違いない。
だから、あれは宣戦布告。
大好きな人たちへの決意表明。
それをもっとちゃんと伝えるために、
「早く終わらせて、わたしもお姉ちゃんの所へ向かわせてもらいますよ! 青の偽典3章──」
魔力が集う。
けれど、解き放たれはしなかった。
閃光、衝撃。
突如として雷の槍が降り注ぎ、クモの形をした空白獣の群れを次々と打ち抜いていく。
「……多い。けど、それだけ」
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