【エピローグ代わりのプロローグ】

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 雷纏う少女だった。白のサイドテールをなびかせながら雷速で移動し、触れる相手を消し飛ばす。 「ウルスさん、助けに来てくれたんですか!?」  思わぬ援軍に声が弾み、けれど疑問に疑問で返される。 「……どうして障壁を使わないの?」 「え、あの──」 「……他人と違うって見せつけられるみたいで嫌?」  動揺が顔に出た。  実のところ、ノエルも属性障壁は扱える。いや、正確には属性障壁しか扱えない。  元々青の属性を持つ魔力は常に冷気を帯び、感情の高ぶりで漏れ出すだけでも、周囲の人を凍えさせてしまう。  人とは違う異質な魔力。それをまざまざと見せつけられるようで、無意識のうちに可能な限り使わないで済ましていた。  けれど、それを他人に話した覚えはない。  ずっと一緒にいた姉でさえ、障壁を使わないのは気づかれていたとしても、理由までは知らないだろう。  シロウに至っては、自分が【魔力障壁(ウォード)】を唱えていないことにも気づいてないかもしれない。 「な、何でそのことを……」 「……分かる。だってわたしも同類だから」
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