3510人が本棚に入れています
本棚に追加
「え?」
呆けたように漏らした声。それに被せて響いたのは、どこか聞き覚えのある詠唱だった。
「……白の偽典3章2節」
固まる。同類、その言葉の意味が理解できてしまう。
「【あまねく光(インフィニット・ホワイト)】」
光が弾けた。
雨のように降り注ぐ白の魔力が這いずるクモを蹴散らしていく。
光となって舞い散る魔力。輝く緑のただ中で、淡々とウルスは訊いてくる。
「……わたしたちには魔導書魔法が使えない。どうしてだと思う?」
「そ、そんなの決まってるじゃないですか! 魔力が元々色を持ってるせいです!」
「……半分正解。無の書はそれでいい。でも、同じ色の魔導書も使えないのはなんで?」
「それは……」
言葉に詰まる。
それは当然の疑問。そういうものだから仕方がないと自分に言い聞かせてきた疑惑。
最初のコメントを投稿しよう!