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「王冠かぶった男が何を言ってんだか。それで、今日はどっちを怒らせたんだ」
「シエナですよ」
オレと同じボロアパートで暮らす双子の姉妹。今追ってきてるのは、その姉の方だ。
「赤い方の嬢ちゃんか。何やらかした?」
「オレが何かした前提で話さないでくださいよ。今日は何もしてませんって」
確かにオレがやらかす事が多いけどさ。今回、オレに落ち度はないはずだ。
要所だけを掻い摘んで説明するとこうなる。
山盛りの洗濯物を二階へと運ぶシエナ。
夕飯の支度を粗方終わらせたところでトイレに行こうとして、偶然階段の下を通りかかったオレ。
バランスを崩し、荷物を飛ばすシエナ。
とっさに振ってきた物を掴むオレ。
で、それが運悪く下着一式だったわけだ。
「クロウ、お前そりゃあ……」
「いや、ほんとに偶然ですって偶然!」
「ホントか? まあでも、偶然だったら本気で謝れば赤い方の嬢ちゃんなら許してくれ――」
「出てきなさい、変態! 素直に出てくれば焼き尽くすだけで勘弁してあげるわ!!」
「――なさそうだな」
「街中でこれだけ叫んでる辺り、許してくれそうな気配はありませんよね」
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