第二章

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久しく人とまともに会話していなかったせいか、 突然の来客者ということもあり、 何をどうすればいいのか戸惑うばかりだった。 「どうしたの? 元気ないけど。嫌な事でもあった?」 そう言いながら、 女性はわざとらしく俺の肩をグッと押しベンチに座り込む。 ますます甘い香りは、 強さを増し俺はどこか気が遠くなるような錯覚に陥った。 「わたしもさ、 これから同伴なんだ。 でもね、聞いてよ。 今日のお客さんちょ~キモいの。気前はいいんだけどね。 わたしを見る目がヤバくって!」 なんだろ… この子。 いきなり話しかけてきたと思ったらいきなり隣に座り込んで。 そしたらいきなり、 世間話… 話す度に妙に大げさなボディランゲージをするもんだから、 その光景を客観的に想像してみたんだ。 すると自然と口角が上がっていたのか。 「あ、やっと笑った。 うんうん、絶対その方がいいって。暗くどんよりしてたらせっかくの美形が台無し!」 …………。 「きみ、もったいないよ。 ホームレスの仲間入りするのは、ぜったいもったいない。」 ………。
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