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ヤクザに追われ、
住む場所も失くし途方に暮れ。
ただあてもなく。
人として最低限の暮らしをしていた。
空を見上げれば、
薄暗くはらはらと白い粉雪が降っていた。
ただ着の身着のまま身を隠すように辿りついたのは、名古屋市内にある美術館。
ここは、
いわゆるホームレスのコロニーとなっており所狭しとブルーシートの軒が連なっていた。
白い吐息を悴んだ掌にあてながら、美術館の建物周辺を闇雲に歩いていた。
おおよそ、
無意識にブルーシートを避けていたんだと思う。
自分はホームレスじゃない。
自分はまだ落ちぶれていない。
そう言い聞かせているのかもしれない。
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