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「ねぇ、きみ名前は?」
……
公園のベンチに座り込み、
無精髭を徐に触りながらただ差し出された手を見つめていた。
「ホームレスにしちゃ、
やけに若いよね?
わたしと同じくらい?」
甘い香りが鼻を刺し、
俺は眉間に皺を寄せ視線を横に流す。そして流した先に写ったのは、みすぼらしい格好でブルーシートを畳む50くらいの男性。
それを見ながら軽く舌打ちをすれば、手を差し出す彼女の顔を見上げた。
その瞳は、
とても大きくて。
吸い込まれそうなくらい綺麗な茶色の瞳。
俺は思わず息を飲み込む。
あ…お、おれ…
3日3晩ろくに口にしていないせいか、唇がうまく動かせず、
吐息しか出せずにまた眉間に皺を寄せる。
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