第三章 #2

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「く、われ! 離さんかい!!ゴラァ!」 逆腕固めの態勢のまま、 男は尚も黒田の腕を締め上げる。 「ガッ…っつぅ」 まだちょっとは、 スジさえ通せりゃまだ救いもあったかもしれねー。 それに同じ結果にはならなかっただろうさ。体格、腕力だけがケンカの強さじゃねーんだよ。 男としての器が何よりも強ぇ!! それが分からないうちは、 何度やっても敵わねぇんだ。 分かるか、オッさん! 「あ!ガッ…」 尚も力を込めると、 黒田の表情がみるみると苦痛の表情へと変わっていく。 今日はもういいだろ? オッさんがナメてかかったクソガキ相手にこの様だ。 周りにはさぞ威厳もクソもねーだろうよ。もし気が治まらないようならもう一度出直してこいや! 俺はもう… 逃げも隠れもしねーよ。 もう二度とな。 そのまま男は、 黒田の腕を離し距離をおく。 黒田は腕を抱えながら、 その場にうずくまった。 「てめぇ…知ったような口を聞きやがって」 いいから行け! 「くっ…覚えてろ」 黒田はそれだけ吐き捨てると、 静かに立ち上がり店を後にする。 「く、黒田さん…」 かなは、 その背中を一瞬追おうとするが、 その場で男の方を振り向いた。
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