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「君…あの時の君だよね?」
…すまん。
これ。
俺はポケットから、
くしゃくしゃになった名刺サイズのカードを取り出し彼女に差し出した。
カードには、
【CLUB HANABI cast KANA】
と記されていた。
「君、名前…なんていうの?」
おれ?
俺は裕也。木嶋裕也。
君は…かな?でいいんだよね。
「ゆうや…
こんな来店の仕方…あり得ないでしょ?」
…あ。
悪りぃ…つい流れでこうなっちまった。
「そんな血だらけの顔で。
更にいい男が台無し!!」
かなは、
男の腕を取りそのまま店の奥へと消えていった。
周囲は、
先ほどの騒ぎが嵐のように過ぎ去り静けさを取り戻し、ただBGMのブルースが響き渡っていた。
また、
黒服、キャスト、客もまた、
その状況に目を丸くしてただ店の奥に消えていった二人の背中を送っていた。
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