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「んっとにもう!
こんなになるまでケンカして」
ってぇ…
「ガマンしなさい!
さっきまで散々殴られてた男がこのくらい何ともないでしょ!」
CLUB HANABIの化粧室。
パイプ椅子に互いに向き合って座りかなは傷の手当てをしている。
「それにしても、
見違えた…あの時のゆうや本当に暗かったもんね。わたし見兼ねてつい声掛けちゃったけど」
な、
なんだよ見兼ねてって。
確かに暗かったのは認める。
俺も上京して今まで散々苦労してきたんだ。
「なにが苦労よ!
ここじゃそんなの通用しないよ?みんな一生懸命生きてる。
一生懸命だからこそ汚い部分だってたくさん見えるの。
だから、ゆうやを馬鹿にしたホストの連中もさっきの黒田さんだって。ただ必死にこの街で生きてるだけなんだよ!」
そう言うと、
絆創膏を俺の頬に貼り付け、
肩をポンッと叩いた。
確かにな。
でもさ…やっぱりそれでも、
道を外しちゃいかんと思う。
何があっても外したらいけないものってあると思うんだ。
それが人それぞれ違っても、
共通するもんは必ずあるはずなんだ。
「……うん。
でもそれが出来ない人だっているんだよ?」
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