第三章 #2

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「んっとにもう! こんなになるまでケンカして」 ってぇ… 「ガマンしなさい! さっきまで散々殴られてた男がこのくらい何ともないでしょ!」 CLUB HANABIの化粧室。 パイプ椅子に互いに向き合って座りかなは傷の手当てをしている。 「それにしても、 見違えた…あの時のゆうや本当に暗かったもんね。わたし見兼ねてつい声掛けちゃったけど」 な、 なんだよ見兼ねてって。 確かに暗かったのは認める。 俺も上京して今まで散々苦労してきたんだ。 「なにが苦労よ! ここじゃそんなの通用しないよ?みんな一生懸命生きてる。 一生懸命だからこそ汚い部分だってたくさん見えるの。 だから、ゆうやを馬鹿にしたホストの連中もさっきの黒田さんだって。ただ必死にこの街で生きてるだけなんだよ!」 そう言うと、 絆創膏を俺の頬に貼り付け、 肩をポンッと叩いた。 確かにな。 でもさ…やっぱりそれでも、 道を外しちゃいかんと思う。 何があっても外したらいけないものってあると思うんだ。 それが人それぞれ違っても、 共通するもんは必ずあるはずなんだ。 「……うん。 でもそれが出来ない人だっているんだよ?」
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