第1話

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はじめて会った時、綺麗な顔の子だと思った。 白い肌、大きな目、赤い唇。 まるで女の子のようだったけれど、その骨格が、手が、男の人だと主張していて少しアンバランスだった。 彼は、とても優しいけれど、その分臆病な人だった。 だれかを心から愛することが、とても怖い人だった。 指をからめると、するすると私の手の自由を奪うしぐさが、 私の首筋にうずめた鼻が呼吸をする瞬間が、 私から思考回路を奪っていった。
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