第1話

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付き合っていたのかときかれたら、よくわからない。 だからといって、割り切ってカラダだけの関係だったのかときかれても、よくわからない。 ただ、愛の言葉を囁かれたり、将来を誓いあったわけではないということだ。 彼は冷たい人というわけではなかった。 寒いと言えばホットミルクを用意してくれたし、 観葉植物の世話も好きだった。 けれど、私と彼の間には絶対に侵せない絶対領域があって、 それはきっと、彼の過去に関係があるのだろうけれど、 私はそれを知ろうとはしなかった。 知ってしまうのが、恐かった。 知ってしまえば、この関係を断たなければならない予感を感じていた。
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