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私と彼の逢瀬は、あっけなく終わることになった。
私の実家に住んでいる父が倒れたと母から連絡が来たのだ。
倒れた父の世話を母はしなければならなくなり、自然と同居している祖父の面倒を見る人が必要になるという話だった。
けれど、母の言葉は建前だということは分かっていた。
東京の大学に行って、そのまま就職を決めてしまった私に、これを機会に帰ってきてほしいということなのだろうと思った。
両親もいいとしになった。
私も火遊びばかりしているわけにはいかなくなったということだ。
私は彼にその旨を伝えて、故郷の長野に帰ることにした。
彼は、私を引き止めなかった。
向こうに行っても、連絡をしてもいいかという私に
「それはダメだ」
と言った。
「自分は、君にとって過去の人だから」と
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