なかよしバスケット

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小人を胸にきつく抱きしめました。 「昨日の事だって、そんなにわたしが悪いの? わたしの小人と一緒に展示したくないって、みんなが思うほどわたしがいけないの?」 涙があふれて止まらなくなりました。 和子はみんなのためを思って、バスケットに入れる人形の位置を決めました。 相談している時間が、もったいないような気がしたのです。 もともと美咲は和子の親友なので、となりに置きました。赤い小人のとなりは青い小人。 色もぴったりです。 恵美の緑の小人はナオの黄色横にしました。その二列の後に、彩花の作ったピンクの小人を入れました。 ガードにタイトルと名前を書いたのも和子です。これでもう展示の準備が整いました。 だから、遅れてきたみんなが文句をいうなんて思ってもいなかったのです。 全部を一人でやったお礼を期待していました。 いつもの美咲なら、ただだまって髪をゆるくゆらしてうなずいてくれると……。 そのやさしい笑顔が見れると……。 「これでいいでしょ?」 さぁ、どう? と、和子が胸をはったのと裏腹に、美咲がムッとした声でどなりました。 「どうして、和子っていつも勝手に決めちゃうの? これはみんなで作ったものでしょう? どうして相談しないのよ」 「え? タイトルはこれでいいっていってたじゃない」 和子には意味がわかりません。 「そうじゃないの。みんなが来てから書くことでしょう?」 「決まってるんだからいいじゃない」 「それにどうして、こんな変なつめかたをするの? 五つなんだから、どれかを真ん中にして、丸くすればいいじゃない」 美咲はかなり怒っているようで、声のトゲトゲしていました。 「まぁまぁ落ち着いてよ」 恵美とナオが二人の間にわって入っても、変わりません。 「彩花だけ後ろに回して、そんなにこの子がきらいなの? いったい何が気にいらないのよ!」 「そんなこといってないわよ」 「わたし知ってるのよ。 恵美とナオに彩花と話をしないようにいったこと」 和子の体がカッと熱くなりました。 「そんなの知らないわ」 恵美とナオを振り返っても、二人ともだまっているだけです。 「とぼけないでよ。なんでも自分のいいように決めて、いつもいつも自分のことばっかりじゃない!」 和子は自分が何をいいたいのかわからなくなりました。
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