なかよしバスケット

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小人との話で、本当に悪いことをしたとわかったからです。 彩花はわりと背が低く、とてもやせた子だとはじめて気がつきました。 そういえば、ちゃんと正面に立って見たことがありませんでした。 「美咲をとられちゃうと思ったんでしょ? 和子ちゃん、にらむからすぐわかったんだけど、そんな気もわかるし……。 だけど、小さな頃から遊んでいたでしょ? この頃はクラブでしかあわなかったから、どうしても話がしたくなっちゃって」 「美咲とは幼なじみなの?」 「そーよ。 だけど、あんな怒った美咲はじめて見ちゃった。 前から和子ちゃんがいつも一人でなんでも決めてしまうって、グチってはいたんだけどね。 でも、美咲は和子ちゃんのこと好きだから、ケンカしたくないっておもっていたみたいよ」 「わたし、一人で決めるほうがいい事だと思っていたの。 美咲はいつもうなずくだけで、文句なんていわなかったし……」 「話し合うったらいいのよ。ねっ」 ピンクの帽子の小人を、和子の前でゆらしてみせました。 いつも彩花らしくなく、ふふっと笑います。 「五人の小人はなかよしでしょう。だから、わたしたちももっとなかよしになろうね。 他の子も、展示の廊下で待ってるから」 彩花と並んで、展示されている廊下につくと、美咲も恵美もナオもそこにいました。 みんなやさしそうな顔をしています。 「和子と彩花が一緒に歩いてる」 と、美咲が涙目でいいました。 「それだけなのに、なんかうれしいね」 と、恵美がやさしく笑っています。 「ほんと良かった良かった」 と、ナオが和子の肩をポンとたたきました。 「ごめんね、わたし……」 和子が話はじめると、彩花が 「その前にバスケットに人形を入れようよ。 どうやって場所決める? ジャンケンしようか。勝ったもん順にする?」 ふざけていいました。 「彩花って、そんな明るい話し方するの?」 おどろく和子にみんなは、 「和子が知らなかっただけよ」 と、笑いました。 ひだまりの廊下で、他の人形は眠っているみたいでした。 きっと、そんなふりをしているのです。 和子たちの人形のように。 小人たちは、それぞれの腕の中で、ホッとしたように、手足をのばしていました。 ♪おわり♪
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