ファイル:美沙子 8

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兄弟だもの……と特に気にはしていなかったが 帰り際ノーチェックで店を出たことを不思議に思い訊ねると 乗り込んだエレベーターの中 グイっと腰を引かれた 「答えはコレかな」 ロビーに行くはずだったエレベーターの箱は25階で扉を開けた 引き摺られエレベーターを降りると 目の前に大きなガラス戸 小脇にある台の前に立つと あの白い封筒を胸ポケットから取り出し 「ルームキーがこのフロアのセキュリティになってるんだ」 確かに、台の黒いパネルにキーをかざすと大きなガラス戸が開く 「こっちだよ」 エレベーターから直ぐの部屋の前で立ち止まり施錠を解除すると 彼は私を部屋の中に連れて入った すごい…… 何この部屋 呆然と立ちすくむ ハイグレードのホテルは部屋もすごい… 窓から望む景色もまた素敵だった ドラマで見る景色そのもの うっとりと窓の外の夜景に心を奪われると背後に温もりを感じた ピッタリと背中に貼り付く陽一さんの体温 彼は後から私を抱き締め右肩の上にコツンと顎を乗せ耳元で囁く
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