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戦慄が走り、鳥肌がたち始める。
きた。来たんだ。
一体、何が?
落ち着け。敵だろう。敵が来たんだ!
持っていても大して意味ないだろうが、刀を居間に置きっぱなしにしてきてしまった。
大きく襲いかかってくる不安は、心をきつく締めつけた。
それまで色々描かれたノートが破かれたように、頭の中は白に埋め尽くされる。
割れた窓ガラスからは、目にも止まらぬ速さで、何かが侵入してきた!
目で追えないスピードは、非現実的な空気を作り始める。
部屋に入ってきた何かは、飛び上がると天井に取り付けられた蛍光灯を、そのままぶち壊した!
壊れる直前、瞬間的に動きが見え、人間が蹴り上げている光景が目にとまる。
その直後、居間は暗闇に包まれた。
空から照らす月光のおかげで、部屋の中はわずかに見える。
さらに窓ガラスの穴からは、素早く三人ほど、この部屋に侵入してきた!
「どうする?殺すか?」
居間から聞こえてくる低い男の声。月光が照らしているといえど、姿、形までは確認できない!
殺すかって、俺達だよな。
寒気が二の腕全体に広がると膝が震え、自然と腰が低くなる。
気づけば息さえも止めていた。
「落ち着け……」
俺達にしか聞こえない程細い声で、仁が呟いた。
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