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たまに俺ですら仁を恐ろしくなる事がある。
「大丈夫か?美沙?」
俺が声をかけると、黙ったまま美沙は居間に向かって走り出した!
それにつられ、俺と仁も美沙の後を追う。
一目散に駆け出して、居間に着いた美沙が大声を出す。
「あー!盗まれた!」
美沙は手を前に伸ばし指差すが、先には何も置かれていない。
「スキルインジェクションか?」
仁がわかっていたかのように聞くと、美沙は声を出さずに頷いた。
あいつら、それが目的だったのか。
「さっきの奴ら、ヒカルって言ってたよね。絶対に許さない。あれは私のだったのに!せめて、開ければ良かった」
いつもの不機嫌モードへ突入する。今日何回目だ?
「逆だ。美沙が持っていた方が危なかったさ。
奴らは居間に目的の物があったから、それだけで手を引いたんだ。
命は取らないようにみたいな事を言ってたけど、重体とか怪我はさせられていたかもしれない。
怪我がなかっただけでも、ラッキーだと思わなきゃ」
仁が諭すと美沙も少し不機嫌そうな表情が和らいだ。
それにしても何てスピードだ。
箱を開けて、当たりが出てからまだ数分しか経過していない。
しかも、現れて20秒前後で盗んでいきやがった。
あまりに差がありすぎる。まさか、あいつらもまだゲームはクリアしていないのだろうか?
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