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「嘘だろ!?」
珍しく仁が慌て、美沙の手に持たれたメモを覗き込む。
その直後、すぐに仁は俺の方を振り返り、口を開いた。
「和也!玄関のダンボール箱の上に、小さな箱が重ねられてないか?」
「あるけど……その“当たり”とか“ハズレ”って一体何なんだ?」
何かのクジってのはわかるけど、内容がさっぱり掴めない。
「通称“skill injection”、日本語訳で特殊技能注射剤。
別名、ability injectionとも呼ばれていて、これは特別な能力を得られる道具って言えばわかりやすいかな。
ゲームは極めて不公平に出来ているんだ。
それは初めに支給される道具に各々で大きく差がある。
このクジはスキルインジェクションが当たるか当たらないか。
色々なパターンがあるらしいけど、代表的なのがこのクジだ
仁は美沙の紙を俺に見せながら喋り続ける。
紙には赤い文字で“当たり”と書かれていた。
「クジの当たり率は、1/10000。
およそ1万人に1人はこのスキルインジェクションが与えられる事になる。当たれば、スタートはだいぶ有利だな。
それをまさか美沙が当ててくれるとは……」
そう言えば、優君が戦っていた時にそんな文字が頭で流れていたような気がする。
確か、あれは炎を使った時だ。
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