鬼退治

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「桃太郎!桃太郎!寝ずにしっかり聞いておくれ!」 突然、どこか遠くの方から、甲高い年老いた女の声が聞こえてくる。 瞬間、暗闇を見ている俺の頭にはメッセージが浮かび出した。 【むかし、むかし、あるところに おじいさんとおばあさんがいました おじいさんとおばあさんは、一人の青年と村外れの小さな小屋に暮らしています】 「そりゃ、桃から生まれたなんてのは嘘じゃ」 甲高い老婆の声が、再び俺の耳に届いてくる。 「だけど、悔しいじゃないかい!」 【事の始まりは、おじいさんとおばあさんが村でついた嘘が始まりでした それはおじいさんが山へ芝刈りへ、おばあさんが川へ洗濯に行った時の事です おばあさんが川で洗濯をしていると、橋の下で泣いている赤子を発見しました 子供がいなかったおばあさんは、捨てられた赤子を見て、迷わず持ち帰ります 芝刈りから帰ってきたおじいさんは、家で赤子を見て たいそう驚いたそうな その時のおじいさんの手には、お土産の桃が持たれていました この子をどうしても育てたいと、切に願うおばあさん 気の弱いおじいさんは、おばあさんに強く言われてしまうと普段から何も言い返せません しかし、さすがにおじいさんも人間の赤子となれば、なかなか納得しません さんざん迷ったあげく、おじいさんは、とうとう首を縦に動かしました そこで問題が起きます】
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