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開いて見た光景に、思わず戸惑ってしまう。
目の前には優君が背中を見せて正座し、その前には年老いたお爺さんとお婆さんが真剣な表情で優君と向き合っていた。
自分の体を見下ろすと、俺も正座をしていた。
ここは、どこだ?
周りを見渡して、観察をしてみる。
黒ずんだ木の板を重ね合わせたような床。灰が山積みになった囲炉裏。ボロボロの木の壁の隙間からは外の空気がふんだんに取り込まれる。
どこかの小屋だろうか?
ああ。さっき説明していた あの変な桃太郎の話のお爺さんとお婆さんの小屋か。
「桃太郎!お前は悔しくないのかい!」
お婆さんは、甲高い声を上げ、優君を叱りつける。
「もし悔しいのなら、村の奴らを見返すためにも、鬼ヶ島へ鬼を退治に行っておくれ!」
お婆さんの横に弱々しく座っていた お爺さんが口を開く。
「宝はわしらの物だな」
そう言うと、ニヤリと笑うお爺さん。
このお爺さんもお婆さんと一緒で、一癖ありそうだな。
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