鬼退治

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だいたい、桃太郎の話も普通の話とはだいぶ違っていた。 人が良いはずのお爺さんとお婆さんは、ズル賢そうだし。 本来、途中で仲間になるはずの動物も初めからいる設定になっている。 そう言えば、桃太郎の話って犬と猿と雉は喋る設定なんだよな。きびだんご下さいって言うし。 そこから考えると、俺達が喋る設定や人間なのも、妙に頷いてしまう。俺だけかな? しばらく歩き続けると、広大な畑の終点に辿り着き、視線の先には綺麗な砂浜と、太陽の光を反射させる 煌びやかな海が見えてくる。 さらにその先には、うっすらと小さな島が見えてきた。 優君は、遠くに見える島を眺めながら口を開いた。 「このクエストは、鬼ヶ島に辿り着き、鬼を倒せばクリアできる。 地道にやり直せば 着けるし、難易度はわりと低めなんだ。鬼に殺される人が大半だけど……」 それを聞き、俺はゾッとした。鬼に殺されるって……。 穏やかな空気が嘘のように張り詰め、徐々に緊張感が湧いてくる。 ついに戦うのか……。いや、優君が居れば大丈夫だろう。 すると、突然 美沙が先に駆け出し、海を眺めてからこっちを振り返る。 「島まではどうやって行くの~?」 「あれに乗っていくんだよ」 優君は砂浜を指差した。
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