鬼退治

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オールを交換する際に、立ち上がった身を慌てて屈める! 反射的に両手は頭の横へ動いた。 ヒュー 何か聞こえてくる。小さな風のような音。吹き付けるように遠くから、その音は近づいてきている。 俺は音がする方へ、首は動かさず 眼球だけ向けた。 「――!」 あれは……。さらに早まる鼓動。 鼓動のリズムに合わせるかのように、頭に当てた指先は震える。 昔から、視力だけは自信があったから見間違うはずがない。 だけど、何かの見間違いであって欲しい! 空高く、こっちへ一直線に舞ってくる、それ。 太く灰色の殺戮兵器。 頭上に見えたのは、巨大なミサイルだった。 こ、こんなの予想してねえよ! 同時に、頬に熱気を感じさせる火焔。 優君の肘から指先にかけ、熱く燃え上がる炎が灯された。
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