鬼退治

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『私か?もうすぐ、わかるさ。そろそろ臆病者を見るのも退屈になってきた』 「いや!だから!お前は、一体……」 「何、一人で喋ってるの?」 声がした方を見ると、美沙が不思議そうな顔で俺を見ている。 「お前も聞こえるだろ?声が!男の声だ!心の中で、直接喋られているような感覚で……」 「声?和也の声以外、聞こえなかったよ」 「え……」 赤い海の上を揺れながら進むイカダは、とうとう島の砂浜に辿り着く。 仁は腰を上げて背中から鎌を抜き、両手で構えながら上陸した。 俺もその後に続き、いつでも刀を引き抜けるように、柄を握り締める。 美沙は銃を構えながら。 頼りにしてるよ。美沙。鬼が近づく前に遠くから、その銃を使って鬼を撃って倒してくれ。 優君に視線を向けると、俺達三人の後ろで控え、穏やかな口調で喋った。 「もうすぐ、鬼がやってくる。あとはそれを倒せばクエストクリアだ。僕は見ているから、自分達でやってみなよ」 何を言っているんだ。こいつは……。突っ込みを入れてやりたい。 俺達だけで……?その姿はまるで桃太郎が、お供の犬、猿、雉に話しているような。 ━━━━━━━━━━━━━━ クエストボス接近中! ━━━━━━━━━━━━━━
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