鬼退治

23/26
前へ
/26ページ
次へ
きた!肘から全体にかけて、俺の手は震え始める。 どこから、来るんだ? 砂浜には、弱い風がそよぐ。優君は、涼しそうな顔でイカダに腰掛けている。 そのイカダから、数m離れた場所で横一線に俺達が並ぶ。 周りを見渡すが、鬼はまだ視界に入っていない。 どこから来るんだ……! 緊張感によって口の中が渇き、ぎこちなく柄を握り構える体が、自分の物じゃない気がした。 「はぁはあ」 息が苦しい。戦闘モードへ移行したら、敵が現れた証拠だ。 まだ、頭の中でメッセージは流れない。 静けさが漂う中、とうとう美沙が口を開いた。 「どこから、来るのかな?」 俺だって、知りたいさ。敵の姿が見えないのが、一番不安だ。 「――!」
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1086人が本棚に入れています
本棚に追加