鬼退治

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後ろからは、相変わらず穏やかな優君の声が聞こえてきた。 「大丈夫だよ。和也君達が三人で力を合わせれば、互角くらいのレベルだから」 そんな事、言っても……。 この巨人と戦うなんて、まだイメージすら湧かない。既に目の前に存在するのに。 「ウガアアアアアアァァアァ!」 太陽に向かって雄叫ぶ 鬼が、嬉しそうに見える。初めて聞いた鬼の声は、太く張りがあり、島全体に轟きそうな大きさで、殺意が籠もっていた。 「美沙!攻撃が来ない位置まで離れて、銃で鬼を撃て!」 仁は美沙にそう言うと、さらに鬼に一歩近寄り、距離を詰めた。 美沙は銃を構えながら、後ろへ下がっていく。 二人がこんなに勇敢なのに、俺は何やってるんだ……しっかりしろ! 恐れるな! びびるな! やるしかないんだ! 少しだけ冷静になれたのか、心の中で決意。ここまで来たら、めちゃくちゃに戦ってやる! 『ほう』 死にたくない! やるしかないんだ!
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