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そのまま走り続ける事、10分。車は勢いを弱らせる気配はない。
どこまで行くんだ……?
「そろそろ着くよ」
俺が気になっている事に気付いたのか、優君が呟いた。
「あそこだ」
優君の言葉に、全員が耳を傾け、後ろから仁と美沙が前に乗り出すように見てくる。
徐々にスピードが弱まると、それは見えてきた。
道の脇に、雑草が生い茂ったまっ平らな広い土地がある。その中心部分には小さなプレハブのような家が建っていた。
車は完全にスピードを失い、プレハブのような小さな建物の直線位置に停車する。
「さあ 行こうか」
やっぱりあそこなのか。
優君の言葉に従い、俺達は車のドアを開けた。
視線の先に見える、暗闇の中に潜む小さな建物。
あんなとこで何をするんだ?
見たところ、気になる事が一つだけある。
警備員が居そうな、小さい建物の上部には看板が設置されていた。
はっきりとは見えないが、何となく文字はわかる。
「桃太郎……」
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