鬼退治

俺は頷いた。

勿論、桃太郎の話くらいは知っている。日本の昔話だ。

確か、昔あるところに老夫婦が居て……お婆さんが川へ洗濯に行くと、上流から巨大な桃が流れてくる。

驚きながらもお婆さんは桃を持ち帰り、お爺さんと一緒に包丁でその桃を割るんだ。

中から出て来たのは、桃の実ではなく、男の子。

驚きを隠せない二人だが、お爺さんとお婆さんには、子供が居なかったため 育てる事にする。

それで、桃から生まれたから名前は桃太郎になったんだ。

その後、男の子はすくすくと成長し、ある日鬼退治に行く事になる。

お婆さんは、きびだんごこさえて桃太郎に渡す。

旅に出た桃太郎は、きびだんごを巧みに使い、餌として、犬、猿、雉を仲間にしていくんだ。

そして、鬼ヶ島に到着し、全員で力を合わせて、鬼を倒す。

こんな感じだった……はず。

世間一般では、おそらく誰もが知っている有名な話だ。

優君は、建物を指差しながら話し続ける。

「中に入って、クエストを始めたら、話の流れに乗るまでは大人しくしていて。変な事すると、やり直しになっちゃうからさ。とりあえず、始めてみればわかると思う」

優しく言い放つと、優君は建物の入り口前に立った。