鬼退治

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建物は、全面が鉄で覆われ、中は一切見えないようになっている。立方体という形が正しい言い方だろう。大きさは縦、横、高さ共に5m程か? 近づいてみると、意外と大きいな。 右端に設置された入口らしき扉には、ノブがついている。 優君はそのノブを躊躇いもなく握って、回した。 扉を引くと鉄が擦れ、耳を刺激するような高い音が奏でられる。 「さあ 入って」 そう言うと、優君は中へ入っていく。 俺達は、そのすぐ後を追いかけた。 扉を押さえながら、中へ踏み込むと、視界は夜の景色よりさらに薄暗くなる。 天井からは青白く光るライトが中を照らしていた。 ブラックライトってやつだな。 さらに天井には、鉄格子が張り巡らされ、僅かに夜と空気を取り込んでいる。そして、ほんの少しの光も。 視線を下に戻すと、奥の壁際に機械が設置され、優君はその前に立った。 高さが人並みの身長ほどで、奥に分厚く、横に短い胴体。中央には小さな画面がある。 ATMの機械みたいだな。 何故か、優君の羽織の背中に描かれた『誠』の字が頼もしい。 仁と美沙が入り終わると、扉を閉め、優君を中心に機械を取り囲む形になった。
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