もう一人の主人公

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何をしても、いつも心は満たされなかった。 遊びもせず勉強ばかりしている奴に圧倒的な成績で勝っても。 高校の時、学校の女共に騒がれて、それに嫉妬して喧嘩を売ってきた奴らを徹底的に返り討ちにしても。 極上の女をいくら抱いても。 完全に俺の心を満たしてくれる事なんて、一度もなかった。 俺は大学を卒業すると、ホストクラブに勤めだした。 特にやりたい事が見いだせたわけでもない大学。それなら就職はせずに、容姿を活かせるホストがちょうど良かったんだ。 ホストは容姿だけでは勤まらない。だから俺は話術と愛嬌を使った。 人の心を魅了すれば、限りなく稼げる。 どうやら凡人にはそれが難しいらしい。 俺は勤めている店のNO1になり、気づけば歌舞羅町一のホストになっていた。 金と力を持っても、全く満たされない。 俺を満たしてくれる事なんかあるのか?
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