もう一人の主人公

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さすがにその死亡事件からそれ以上 手掛かりは何も得られなかったものの、しばらく経つとヤクザ系の知り合いから新たな情報が手に入った。 それはそいつとBARに飲みに行った時の事。 『最近さあ、新しいシノギが見つかったらしいんだよね。めっちゃ、羽振りが良くてさ』 『新しいシノギ?』 シノギはヤクザが商売にしている、仕事のようなものと考えれば良い。 『いや上の方のごく一部しか知らないみたいだから、俺もよくわからないんだけど、めっちゃ稼げるらしいんだよね。闇金の方の回収にも、使えるらしくて……。一気に組の金回りが良くなったんだよ』 『へえ~』 このご時世にそんな景気が良い話を聞けるとは思わなかった。 『俺もさ、来週からそのシノギに携わらせてもらえるんだけど、内容はやるまで秘密なんだって』 考えられるのは二つ。 こいつが騙されて、とうとう殺人系の仕事をさせられるか。 もしくはこいつの言った通り、本当に全く新しい仕事かだ。 だとしても、この不景気な時に、そんな稼げる新しい裏の仕事が現れるなんて考えにくい。 表も裏も一緒で、裏の世界だって今は寒いからな。 例え本当だとしても、よっぽどヤバいだろうな。 意外にも、これが俺のブラックアウトの入口だった。
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