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全員がDIMを機械に放り込み終わり、周りの景色が歪んだ後、気づけばオンボロの小屋の中にいた。
目の前には数え切れないシワを持つ 年老いたジジイとババアが座っている。
頭の中に自然と流れ込んでくるメッセージ。
そんな状況の中、僅かに顔を後ろに向けると空気を悟ってか 三人とも大人しく座っていた。うち一人はバカデカい盾のせいで見えないがな。
いきなりやり直しになるのだけは勘弁して欲しい。
1日このクエストが出来なくなるだけでも、時間の無駄だし痛手だ。
視線を下に向けると、神刀は膝元に真っ直ぐ置かれていた。
「桃太郎や。しっかり聞いておくれ!」
このクエストの情報は完璧に揃っている。
俺はババアに話をちゃんと聞いている事を伝えた。
ババアの熱弁が始まる。
その隣でジジイは退屈そうな表情を浮かべていた。
よし!情報通りだ。
なんなく会話をクリアしていき、冒険へ出るための最後のセリフに近付いていく。
「桃太郎!お前は悔しくないのかい!」
ここだ。本来はこの後、ババアとジジイの期待に答え、鬼ヶ島へ行くことになる。
ババアは甲高い声をあげ、叱りつけてきた。
間違ったセリフを喋るとやり直しになるこの場面。ただし情報によると、ここだけは違うルートが用意されている。
「もし悔しいのなら、村の奴らを見返すためにも、鬼ヶ島へ鬼を退治に行っておくれ!」
間違ってたら、最悪やり直しだな。仕方ないな。ものは試しだ。
覚悟をして、俺は口を開いた。
「いや、村で迎え撃ちましょう」
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