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鬼から放たれた声は、耳の鼓膜を直接 刺激するような巨大な音量。
まるで、空から声が降ってくるような感覚。
ベース程の低い男の声。距離はまだ遠くにも関わらず、その声は辺り一帯に轟いた。
《本当に久しい客人よ》
振動させる程の低い声は、再び俺達がいる場所まで届けられる。
鬼は言い終えると、重たそうな足を持ち上げて再び歩き出した。
奴が進む度に地が割れる音が響き渡る。
シルエットがうっすらと消えていき、徐々に姿が見えるようになってきた。
血の色より濃い、赤い皮膚。高層ビルほどありそうな背丈に鍛え上げられた筋肉。体型でボディービルダーになれそうだ。
それに付け加えて、村ごと潰しそうな金棒。
《ここに来たからには、もう生きて帰れない》
鬼の息遣いさえも聞こえる程、距離は狭まった。
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