死の瀬戸際で

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そうなのか?待ち構えているのか……? そうは見えないじゃないか。油断しているんじゃないか? ジリジリ 静かに歩み寄っていく……。 短い柱のような黒い物体は、相変わらず動く気配を見せない。 『違う。これは奴の作戦だ。待ち構えて誘い込んでいる。私には、まるで釣り針に引っかかるのを待っているようにしか見えない』 本当にそうなのか? だがちょっと待てよ。 例えそうだとしても奴が動き出す前に、斬れば良いだけじゃないか? 俺が抜刀のタイミングを間違えるのと同じで、敵自身も釣りに失敗する可能性はあるはず。 「はあはあはぁ」 息苦しい。斬りかからなきゃいけないんだ。 『一度、退け』 やるしかないんだ。やるしかないんだ。やらなきゃ駄目なんだ。 「はあはあはあはあはあは」 戦わなきゃいけないんだ! 「うわああああ゛あああぁあああああああ゛あ!」
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