1242人が本棚に入れています
本棚に追加
道は細く薄暗い。奥には扉らしきものが確認できる。
BARに行く途中の階段を思い出すな。あの時も先に何があるのか、不安だった。
そして隠された危機は、優君が救ってくれていた。
俺もあれだけ強ければ、自信で満ち溢れるに違いない。
次に思い出すのは、消えゆく中で見た優君の優しげな表情。
そして、仁と美沙との日常。
必ず帰る。改めて認識して、恐怖を掻き消す。
『戦いの前は必ず自分にとって大事な人を思い出せ。
そして切に願え。
そうすれば帰る想いが君を強くする。
昔から戦争に出た強き人間はそうしてきた。
だから強い』
「はるか 開けるぞ」
扉の前に辿り着き俺はノブを握り締め、首だけ後ろに向けてはるかに確認をとった。
はるかは真剣な表情で頷く。
ガチャッ
開けると小さな音を立て……。
俺は扉を前に押した。
最初のコメントを投稿しよう!