古手川仁

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まずは車を移動させ、離れた場所へ停めておく。これはプレイヤーが出てきた時に少しでも他プレイヤーがいる事を悟らせない為だ。 戻ってきて、使用中の文字を確認し、真向かいの喫茶店へ……。 入る前にふと気付いた事だが、今の時間帯だと太陽の光がガラスに当たっているため、反射して、外から中は極めて見づらくなっていた。 ガラス張りになっているため、中からは見やすい。 これ以上ない隠れ場所だ。 机と椅子をなるべく近づけて少しでも見えないような場所を作り、俺は身を屈めて、息を潜めた。 視線は赤く点灯する使用中の文字、一点に向く。 DIMに周辺プレイヤーの検索機能もあるが、クエストボックスの中にその効果は及ばないと書かれていた。 待つしかない。例え長くなっても……。和也達との待ち合わせに遅れない程度まで。 そう決めて、様子を窺っていた時、またしても予想外な事が起きた。 赤く点灯する文字が消えた。
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