古手川仁

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さすがにもう良いだろ……。 おそらく失敗したんだ。死亡の文字が頭を掠める。 初めて人の死を感じ、全身に鳥肌が立ち、呼吸が荒くなり始めた。 例えるなら、10m先で人身事故が起きているような感覚。到着した時は既にブルーシートで覆われて、中で何がどんな状況になっているのかわからなくて……。 わかっていただろ? 俺はそういうゲームを始めたんだ。 常に死と隣り合わせのゲームに……。 怯える事はないはずだ。それを承知でやったのだから。 心の底では毎日ずっと退屈していた。何か物足りなくて。何か楽しくなくて。 刺激が欲しかった。 だから……このゲームを始める時、興奮すら覚えた。 世界の……いや日本のどこかに俺と同じような考えを持った奴はきっといると思って……。そんな奴に会ってみたいとも願ったりもした。 行こう。 俺は喫茶店を出て、クエストが始まる扉を目指した。
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