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再び重々しい鉄の扉の前に立ち、今度は取っ手を握り締める。
もう一度、視線を向けて確認してみるが、やはり使用中を知らせるランプは消灯していた。
俺はゆっくり扉を引いた。
扉と枠が若干擦れ、重い音が奏でられる。
誰かがクエストをしている間は、絶対に扉は開かないって沖田さんが言ってたな。
扉が開くって事は……。
「……」
緊張しながらも、中を覗くと、暗い室内をブラックライトが照らし、中央には機械が設置されていた。
案の定、誰もいない……。
死んだんだ……。半ばありえない出来事に動揺し、吐き気が込み上げてくる。
もしかしたら、これから俺もそうなるかもしれない……。
そう考えると、心が揺らいだ。一人がこんなに怖いなんて……。
やはりクエストを変えるべきか?
もっとlevelが低いクエストは探せばあるはずだ。
……。違う。迷うな。
立ち向かうしかない。この先、もっとキツい出来事があるのは容易に予想出来る。
立ち止まるわけにはいかない。
俺は機械を操作して、DIMを放り込んだ。
いよいよクエストが始まる。
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