古手川仁

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「婆ちゃん!」 口から零れた言葉。同時に足が前へ動く! 開かれた道を必死に駆け抜ける! 体の左右には無数の人混み。 たまにぶつかりながらも、婆ちゃんを目指して足は動く。 男との距離は段々と縮まった。 広い円の形で空間が出来て、大勢の人が男を見守る。 男は婆ちゃんの背中から前に手を回し首を覆って、マシンガンをこめかみに当てている。 「誰も動くな!」 密接した男と婆ちゃん。引き金に手をかけている。 なんてゲームだ。こんなの非情すぎる。 渇いた下唇を噛みしめ、柄を握る手に、力が自然と籠もる。 俺は空いた空間の最前列まで来た。 婆ちゃんとの距離は数十m。 男の周りは直径30m程の空間が出来て、人々は男のマシンガンに怯えて見守る。 どうする……。 【残り時間 14:30】
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