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こんな状況の中でも婆ちゃんは俺を見て、穏和かな表情を浮かべていた。それが逆に婆ちゃんらしくて。
まるで俺を心配させないように。
幼き頃、繋いだ手が温かった婆ちゃん。
シワシワの手で力強く俺の手を握り締めてくれた。
「婆ちゃん!」
男より背が頭一つ低い婆ちゃん。腰が曲がっている分、羽交い締めにされて、きっと苦しいはずだ。
これは ゲームなんだ
頭でそれを必死に理解する。
あれは婆ちゃんじゃない。
婆ちゃんは死んだんだ。
「おら!車を持ってこい!」
男は銃口を空に向け、数発だけ音を鳴らした。
同時に湧き上がる悲鳴。
婆ちゃんのこめかみには再び銃口が当てられる。
【残り時間 13:30】
駄目だ。時間は刻々と減っていってる。
鎌を使いに、ここへ来たんだろ?
自信はあった。こんな状況じゃなければ……。
【残り時間 13:00】
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