古手川仁

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鎌はすぐに男に辿り着いた。 右から振り下ろした鎌は男の左肩に食い込む! 婆ちゃんは男より身長が低いため、まだ刃は当たっていない。 鎌の刃の長さは男と婆ちゃんの厚さを足しても、まだ有り余るほど。 羽交い締めにされているため、目の先には婆ちゃんがいる。 顔に大量の汗と動揺した表情を浮かべる男。歯を食いしばり苦痛な表情へ一瞬で変化した。 婆ちゃんは俺の瞳を真っ直ぐ見ていた。 写真を見ているように時が止まった気がする。 一度放った力は一気に抜けるはずもなく、男の肩からは血飛沫が舞った! 同時に刃に描かれた椿は赤く染まり、男の肩にのめり込んでいく! 右手から感じる禍々しい力。 何かを吸い取られたような感覚が、一気に体の内側から湧き起こる。 何が起きたのか右手を確認するため、視線を移そうとした時。 「あっ」 一気に刃は進み、男と婆ちゃんの体は真っ二つに切り裂かれた。 俺の顔は婆ちゃんの血で染まる。 【残り時間 10:00】
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