古手川仁

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視線を逸らす事の出来ない光景が目に入ってきた。 振り下ろした鎌。そして、鎌の柄を握る右手。 違和感の原因はすぐにそれでわかった……。 指の先から右腕の肘までの部分が“白骨化”していた。 この鎌は命を吸い取る。 否 この鎌は魂を徐々に食い尽くし、俺を化け物の道へ導く。 ああ。そうか。だから、死神って命を奪う生き物として、生まれたんだ。 だから死神の鎌なんだ。 【残り時間 09:55】 切り裂かれた男と婆ちゃん。もう身動き一つしない。 ピクリとも動く気配はなかった。生々しい。 初めて殺人を犯したような感覚。 ああ。これじゃあ俺が殺人犯みたいだ。 わかっている……。 狂いそうだ。 薄々気がついていた。 唖然と見守る大衆の人々。 その中から殺人犯の仲間が数人飛び出してきた。
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