古手川仁

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何故、仲間がいた事をわかったのか……? 答えは簡単だ。 “殲滅” 対象相手が一人の場合でも、言葉の使い方は決して間違ってはいない。 ただ違和感があった。 そこからおそらく敵は複数人いるんじゃないかというのは、容易に想像がついたんだ。 前の奴はここでゲームオーバーになったんじゃないだろうか? 感じる。どんどん覚醒していくのが。 気配を通して。 風を通して。 肌を通して。 細胞を通して。 三人の敵が迫ってきているのを感じとれた。 鎌に灯された禍々しい青白い歪んだ光。 白骨化した肘までは、自分の体じゃないように力が満ち溢れてくる。 囲むように迫り来る敵に、俺は体を一回転させ、大きく鎌を一振りした! 直後、迫り来る三人の胴体は横に真っ二つに割れ、綺麗な血の噴水が出来上がり、真紅の液体は空を目指した。 まるで椿の花をハサミで切り落としたように。 それでも、俺は動揺しなかった。
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