古手川仁

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なるべく足音を立てないようにアパートの階段を駆け上がり、部屋の中へ侵入する。 「はーはーはぁはあはぁ」 ずっと走ってきたせいで息が上がっている……。 すぐさま扉を閉めて、俺は壁に寄りかかって、床に座り込んだ。 「あー 疲れた」 ここまで来るのに、武器が包丁ってのは不安要素が多くて神経使った。 アクションゲームやシューティングゲームみたいに、一回死んでもやり直す事が出来たらいいのに……。 一回死んだら、アウトってのが一番のキツいルールだ。 逆にそれが俺を燃えさせるんだけどな。 視線の先の光景。廊下を抜けて、居間に続いて、奥の壁に鎌が立て掛けてある。 鋭く大きな刃が光って、俺を誘ってるようにみせた。 ――あの鎌は命を吸い取る
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